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月刊ouca magazine Vol.1(2023年1月号)

更新日:2023年3月2日


こんにちは、ouca代表の田村です。

2022年5月24日にクラウドファンディングに挑戦したところ、6月30日までに89名からご支援をいただき、内78名の方に、目を閉じてでも履ける靴下『minamo』を購入いただきました。


その後もリピート購入や、テレビや雑誌などのメディアに取り上げていただき、新規購入にもつながっております。


「こんな靴下を求めていた!」 「作ってくれてありがとう!」


そんな喜びの声をたくさんいただいてきました。

色んなこだわりが詰まった『minamo』をはじめとするoucaのプロダクトをもっともっと届けていきたいと思い、2023年はouca独自でも発信活動をしていこうと決意しました。


ということで、「月刊ouca」という企画をスタートすることにしたのです。

記念すべき第一号のテーマは! 『minamo』の機能です!


目を閉じてでも履ける靴下『minamo』の機能

①裏表がない ・柄が反転するので2倍楽しめる。

②縫い目がない

・縫い目がないのでズレが気にならない。

・縫い代が皮膚に当たったりして痛くならない。

・化学過敏症や敏感肌の方でもなめらかな履き心地を味わえる。




③かかとがない

・フリーサイズのため、29cmのお父様と21cmのお子様で同じ靴下を履いている方も!

・踵がないのでどの方向からでも履ける。圧力が分散されて長持ちする!



④ズレ落ちにくく、締め付けがない

・足のふくらはぎの形状に合わせた設計になっているのでズレ落ちにくく、締め付けがない。


⑤ペアがない ・自然にマッチするカラーが4種類あり、1セット3色、5色で楽しめる。


最も強い想いを込めた機能

このように、多くの機能を備えている『minamo』ですが、私はこの中でも①の【裏表がないデザイン】を成立させることに最も想いを込めていました。


今から約2年前の、2021年2月のことです。

視覚障がいのある方々や化学過敏症の方や敏感肌の方々から、「靴下」に関するお悩みをお聞きするため、ヒアリング会を実施しました。


【抱えておられた悩み5つ】

・踵が上になったり横になったりして時間がかかる ・しめつけがきつくて長時間履けない/浮腫むと跡がついて痒くなる ・足が小さく脱げやすい/足が大きくて穴が開きやすい ・裏返し・左右違うことがあるので、同じ靴下しか買わないようにしている ・本当は色んな靴下を履きたい

この時、 「こういった悩みを全て解決できる靴下って本当にないのかな?」 と思いました。

なぜなら、私は縫製士ですが、靴下の業界の人間ではないので、靴下の仕組みすら分からない状態でした。そこでまずは、世の中で販売されている靴下70足ほど購入したのです。


いろんな靴下を手に取り、細かいところまで目で見てリサーチしたところ、 「裏表のない靴下なら、みんなの困りごとを解消していけるかも!」 という仮説を持ちました。


この仮説をもとに、「裏表のない靴下」を実現していくために開発をスタート。

完成したのは1年後。その中で最も苦労したのは、靴下を作ってくださった工場との交渉、信頼形成でした。



初の靴下作りに紆余曲折

2021年4月末のことです。 締め付けがなく、筒状で裏表のない靴下を作りたいと思い、靴下で有名な広陵町にある工場にうかがいました。



すると、

「一度作ってみましょうか」

と言っていただき、その1ヶ月後にサンプルがあがってきました。

靴下作りの初心者の私には、そのサンプルはあまりにも衝撃的なものでした。

締め付け デザイン 触り心地 理想とはほど遠いものでした。


「あーーーー。あー…。これからどうしよう。」

10年以上、服の縫製の仕事をしておりそれなりのアパレル知識はあるつもりでしたが、靴下は編み物。畑が違うので、どこをどうすれば理想に近づく事ができるのか分からず、この時点で、完成品が全く想像付かず不安な気持ちでいっぱいでした。同時に、時間も資金も掛かりそうだと時間勘定、金勘定。さらに不安や恐怖が募ります。 そんな私の横で、oucaのクリエイティブディレクターであり、プロダクトデザイナーのコースケさんの 「たたき台だし、仕方がない。ここからoucaらしさに変えていこう」 という一言で、気を落ち着かせていたことを今でも覚えています。 「ここからだ!大丈夫。大丈夫。」と自分に言い聞かせていました。


改良の繰り返し

1回目のサンプルは締め付けも強く、痒くなることもありoucaの「肌に優しい」コンセプトからかけ離れていました。 ここから、まず、 ・締め付けは極力なくす ・ズレ落ちないようにする この相反する課題に向き合うことになります。 正直、私たちのように小ロットの複雑なオーダーに向き合っていただくのは、大変だったと思います。

3ヶ月後の9月に2回目のサンプルをいただきました。この時も、締め付けを感じたので、どうしたらよいのか思案していると、コースケさんが

「あ、足首のところに合わせるんじゃなくて、ふくらはぎの形状に合わせて、足首のところは自然になるようにお願いしたら良いんじゃない?」

と。アパレル製品ではなく、普段、家具や器、文房具などを手掛けるプロダクトデザイナーらしい視点だと感じました。

「これで、しめつけのない理想の靴下が実現できるかもしれない!!!」

振出しに戻る

2022年の年明け 3回目のサンプルが上がってきました。形は今のminamoに近づいていましたが、甲の部分にズレ防止のゴムを入れていました。

(うーーーーん。甲にもゴムは必要なさそうだなぁ。)とぼんやり思いながらそれよりも、「糸選びに失敗した!!」というショックがありました。



今ここまで読んでいるあなたに、質問です。 完成されたminamo靴下の触り心地はいかがでしょうか?


手元に靴下を持っている方には、足をふんわりと優しく包み込んでくれる感覚を感じて頂いていると思います。(だったらいいなぁ~)

完成品はコットン・ウールの糸ですが、実は、この3回目のサンプル時はオーガニックコットン100%の糸で作っていました。


オーガニックコットンと言えば聞こえがよさそうですが、やはり綿ですので、糸の太さや目付(日本では1㎡当たりの重さ)、編み方次第で、固くざらついた感触になります。洗濯後、目が詰まって、履くときにキシキシする感じを経験したことがある方も多いはずです。


3回目のサンプルはそのような靴下になってしまいました。oucaは「肌に優しい」「肌が心地よい」を追求しているので、そこに納得がいくはずもなく...。


2022年1月、年明け早々に、設計も糸選びも振出しに戻ったということです。 もちろん柄も決まらないまま、ヒアリング会から1年が経とうとしていました。「何もかも解決できる夢のような靴下は無理なのかなぁ...。」と弱気になっていました。


結果的に完成品まで6回ほど試作をつくることとなるのですが、これは非常に稀なことだそうです。後日談ですが、こんなにも試作を作ることは無く、工場さんは「まだつくるのか…。まだできないのか…。」と思っていたとか。笑。

知らないところから作ると、その業界の常識が分からない。限度がわからないし、いい塩梅が分からない。oucaはこの状態からのスタートなので、工場さんもしんどい気持ちがあったのだと思います。この時期、全体的に上手くいかない空気感が漂っていました。


しかし、もう少しで何か掴めそうなそんな気がする!!という根拠のない自信だけがありました。怖いもの知らずな部分が新しいものを生み出す鍵にもなります。色んな想いがありますから、諦めも妥協も出来ませんでした。 2022年1月、2月、3月は行く、逃げる、去る とはよく言ったものです。 違う意味で我々は怒涛のサンプルラッシュを迎えます。


昔の記憶

1月19日の深夜 裏表を成立させる柄の案が浮かびます。


それまで、「納得いく方法が1つも出てこない」この事実に私はだいぶ焦っていました。唯一出ていた案は部分的に沁み出すような染めをすること。つまりタイダイ染めです。しかし、染色屋さんも靴下工場さんも乗り気ではい様子を感じていましたし、そもそもタイダイ染めで出したい柄が難しすぎて、誰一人として納得していませんでした。


焦りは募る一方で、この時期、常に心にとどめていた言葉があります。 「常識を疑え」「楽を選ぶな」


そんな時、とあるテレビ番組に釘付けになりました。機織り職人が、「納得がいかない」「理想にはほど遠い」と何度も何度も、、、何度も何度も作り直していました。

機織り職人の渾身の作品が出来上がりクライアントに見せた時の言葉が 「丁寧に作り込まれているものだから、表だけでなく裏も使いたい」

その姿に自分も重なり目頭が熱くなったのを覚えています。oucaがやりたいことそのものです。この言葉が大きなヒントとなりました。


小学生の時、棒編みを祖母に、鍵針を母に教わりました。そこから専門学校時代に授業でセーターを編んで以来編み物にはほとんど触れてこなかったのに「同じ力で上手に編めば綺麗に目が揃う」「ゆきが今やっているのは裏も表も同じ目になる編み方よ」と20年以上前に祖母に言われたことを何故か急に思い出しました。



靴下は編み物です。

どうして思いつかなかったのか!!!


次の日、早速工場に電話をして 「それ、ガーター編みですね。それなら可能ですよ。oucaさんが表現したいことにもぴったりですね!」

1月23日 もっとふわっとした糸を求めて、たくさんの糸帳の中、たどり着いたのがコットン・ウールの糸でした。

糸の選定を行い、それを踏まえてコースケさんにデザインをあげてもらいました。

「名前はminamo。水がモチーフのoucaだから、水面がキラキラ輝く様子を表現したよ」 なんて素敵な名前だろう。大事にしたい。そう感じました。


2月24日 4回目のサンプルです。 糸により目付が変わり、風合いが変わります。結果、見栄えやサイズ感も変わるので、着用して確認します。そして、目付と柄と糸色のバランスも再検討することになりました。


3月8日 5回目のサンプルは、ほぼ完成品と同じ形になっていました。この時、作ってもらったのは7色。形も色も可愛い!!とテンションが上がったのを今でも覚えています。5つのバリエーションを作ろうと5色決めました。

ここで、1回目からずっと、足の甲に入っていたゴムの違和感に、ついに終止符を打ちます。 「裏表履きたいのにゴムがあることで裏感が出るので、ゴムは無しにしたいです!!」


3月28日 6回目のサンプルが届きました。 リードユーザーさんの試着と撮影は4月4日。クラファンの時期も決めていたのでその準備を考えるともう時間がありません。「選んだ色がくすんで見えたので、やはり明るい色にしよう!」と最後の最後に色の変更を行うことに決めました。(もーええやろ!!って言葉がどこからか聞こえてきそうです。)

でもこれで、遂に!遂に! minamoの靴下の完成です!! 長かったです。本当に長かった。

「まだつくるのか…。まだできないのか…。」 工場さんだけでなく、ここまで読んでいるあなたもそう思いましたよね?

これだけ長いと、もちろん所々でコミュニケーションエラーも起こります。しかも、売れるかどうかの保証はどこにもありません。

しかし、oucaの想いを素直に伝え、その言葉に工場さんも耳を傾けて下さり、決して諦めなかったからこそminamo靴下がこの世に誕生したのです。


『minamo製作工場 栗巣社長インタビュー』

ものづくりは、1人ではできません。

・課題を抱えて困っている方の声 ・デザイナー ・工場

生きづらさ、不便の声があって企画できる。カタチにするための関係者の協力があって、oucaのプロダクトを生み出していける。

これがインクルーシブデザイン。

無理そうに見えることも、「こうしたらできるのでは?」とアイディアを出し続け、信頼できる方達と役割分担をすることで、実現できる可能性があるのです。

誰もが役割・居場所があるのがインクルーシブな社会!oucaはプロダクト開発を通じて、そんな社会を目指しています。

oucaはこれからも、「誰かが抱える不便」を「みんなの価値」にしていけるように活動していきます。 本年もoucaをよろしくお願いします。


ouca代表 田村優季



『minamo』ユーザーの声
















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